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共同発表:液-液相分離がオートファジーを制御する仕組みを発見~オートファジー研究は次のフェーズへ~ - 科学技術振興機構

本研究グループは、PASを構成するたんぱく質の1つであるAtg13に着目し、蛍光顕微鏡を用いて酵母細胞内での振る舞いを詳細に調べました。その結果Atg13は細胞質とPASの間を活発に往来しており、さらにPASの内部でも動き回っていることが分かりました。PASが形成される過程を詳細に観察した結果、まず複数の小さな球状構造が液胞膜上に形成され、それが膜上を動き回りながら互いに融合して1つのPASになることが分かりました。これらの特徴は、PASが液-液相分離で形成された液体状の液滴であることを示しています。

次にAtg13を構成因子として含むAtg1複合体の挙動を試験管内で調べました。精製したAtg1複合体は試験管内で速やかに球状の液滴を形成し、液滴同士は活発に融合するなどの性質を示しました。高速原子間力顕微鏡注4)を用いた解析の結果、液滴ではAtgたんぱく質がランダムな配置で分布し、運動している様子が観察されたことから、液体様の構造であることが確かめられました。

栄養が豊富な環境にいる酵母ではAtg13はTORC1というリン酸化酵素によりリン酸化を受け、PASの形成を阻害し、酵母を栄養飢餓にさらすとAtg13がホスファターゼにより脱リン酸化を受け、PASの形成が促進されることが知られています。同様に試験管内においても、Atg13をTORC1によりリン酸化すると液滴形成が阻害され、ホスファターゼで脱リン酸化すると液滴形成が促進されました。この結果から、Atg13のリン酸化状態が液-液相分離の制御を通して、PASの形成とオートファジーの進行を制御していることが分かりました。

Atg1たんぱく質自体もリン酸化酵素であり、その活性化を通した他のAtgたんぱく質のリン酸化がオートファジーの進行に重要であることが分かっていました。今回の試験管内での解析の結果、Atg1複合体が液-液相分離し液滴を形成した場合のみ、Atg1の活性化が進行することが分かりました。Atg1の活性化を行うことが液滴を形成する意義の1つと考えられます。

酵母ではPASは常に液胞膜の上で形成されます。液胞膜に存在するVac8たんぱく質を欠損させたところ、PASが液胞膜から離れることが分かりました。さらに、試験管内でVac8たんぱく質を結合させた脂質膜にAtgたんぱく質液滴を添加すると、液滴が脂質膜に結合し、脂質膜上を動き回りながら互いに融合することが分かりました。これは酵母におけるPASの形成過程を再現していると考えられます。

これらの結果から、細胞が栄養飢餓を感知すると、Atgたんぱく質が液-液相分離を引き起こし液胞膜上に濃縮して、PASそのものである液滴を形成させ、オートファゴソーム形成に必要な因子の濃縮やAtg1の活性化を通してオートファゴソームの形成が進行することが明らかになりました。

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February 06, 2020 at 07:54AM
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