新型コロナの影響を受け、遊戯施設の休業や、リアルな場でのスポーツやイベント興行が軒並み自粛、中止となったことは記憶に新しい。現在は人数を制限しながら再開しているものもあるが、平時の状況とは程遠く、模索の状態が続いている。
そのなかで、注目を集めているもののひとつに「電子チケット」がある。これまでも利便性の向上や不正転売の抑制として活用されはじめていたが、紙のチケットによる受け渡しや、もぎることで発生する接触リスクを回避できるという利点が着目されるようになっている。
ここでは、電子チケットサービス「MOALA Ticket」を展開するplayground代表取締役の伊藤圭史氏に、新型コロナによって変化したイベント興行や電子チケットを取り巻く状況、そして今後のエンタメビジネスについて聞いた。
playgroundは2017年6月に創業し、ライブ体験に関わるあらゆるサービスをデジタル化するエンタメのデジタル化支援プラットフォーム「MOALA」を提供。電子チケットの発券システムのMOALA Ticketは、埼玉西武ライオンズや吉本興業などで導入されている。そのほかエンターテック(スポーツ・エンタメ×デジタル)に特化したコンサルティング・システムインテグレーション事業なども展開。2019年6月には、本田圭佑氏が手がける個人ファンド「KSK Angel Fund LLC」を引受先とした第三者割当増資による資金調達を実施したことでも知られている。
新型コロナの影響で電子チケットに変わらざるを得ない状況
――まず伊藤さんが感じている、今のエンタメイベントを取り巻く状況、そして電子チケットの状況について教えてください。
リアルな場でのスポーツやイベント興行は一時期全面的な中止状態にあって、その後ガイドラインに沿う形で人数を制限しながら興行も少しずつ行われるようになってきたという経緯は、ご承知の通りです。ただ、以前から比べればほとんどやっていないに等しいくらいの数ですし、今秋から年末年始にかけて開催の告知を行う興行も見られるようになってきたものの、本当に開催できるのか、どれぐらいの観客が入れられるのか、といった部分は主催者側も手探りという状態です。私が聞いている限り、2020年のイベント興行におけるチケットの流通枚数は、平時の10~20%程度の規模にとどまるのではないかと推察しています。
一方で、電子チケットに対するニーズは、今までとは比にならないぐらいの状態にあります。「もう100%電子チケットに移行しよう」という興行も急増しましたし、弊社もその流れを実感するぐらいに、問い合わせも急増しています。
――それは、新型コロナの影響でチケットの非接触対応が求められているということでしょうか。
紙のチケットでは、「分配」と「もぎる」というところで接触があるので、そのリスク回避という観点は、もちろんあります。また、電子チケットでもサービスによっては来場者のスマートフォンを指でスワイプするなど、直接触るような方式もあるので、そのようなサービスでも完全非接触に変えようよ、という話しが上がりはじめました。
同時に、今のチケットの扱いに求められているのは、非接触ということだけではありません。来場者の連絡先を全員取得しなければいけないことと、キャンセルをスムーズに受け付けることが、ガイドラインに示されています。それに沿うのであれば、紙のチケットでの管理は煩雑になりすぎますので、電子チケットに切り替えざるを得ないと考える興行主が増えています。
従来、電子チケットの利点は、来場者の利便性の向上と不正転売の防止とされていました。しかし、前者は興行の利益に直結するわけではないため不正転売防止のニーズがない限りなかなか導入されない状態が続いていました。この状況は新型コロナの影響で一変し、今では興行が減りチケットの総流通枚数が激減した今の時点でも既に電子チケットの流通枚数はコロナ前を逆転しているのではないか、と感じています。
弊社でも独自開発の顔認識技術とQRコードを融合した非接触型の入場認証機能「MOALA QR」と検温機能(発熱者スクリーニング機能)を組み合わせたwithコロナ時代に対応した入場認証機能を開発しました。非接触や検温といった新型コロナ対策はもちろん、不正転売や、これを機に来場者全員を顧客名簿化しようといった派生したニーズにも対応しています。まもなく実際のイベントに使われる予定で、興行の復活と共に活用いただける場も増えていくものと期待しています。
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