(Photograph by Nyana Stoica on Unsplash)
「オートファジー」。2016年にノーベル医学・生理学賞を受賞した研究テーマであることから、この言葉を覚えている読者も少なくないだろう。同賞は、東京工業大学栄誉教授の大隅良典氏に授与された。
オートファジーとは、細胞の中で不要になったタンパク質などを分解する働きを指す。その働きを担うのは、オートファゴソームという細胞内の小器官(細胞内小器官)、言ってしまえば“廃品回収車”だ。
この廃品回収車(オートファゴソーム)は、何らかの指令を受けて出動し、細胞内の壊れた(異常な)タンパク質や細胞小器官、細胞に進入した微生物を取り込み、リソソームという別の小器官の力を借りて分解してしまう。
では、この廃品回収車、何のために細胞内で働いているかといえば、壊れて邪魔になったタンパク質などを回収し、再度、有効活用するためだ。それも、空き瓶などを再度使用するリユースではなく、素材に戻した上で、再度加工し直して使用するリサイクル。ペットボトルを回収し、ペレットなどの素材にした後、新たな製品(繊維や食品用トレイ)などに加工し直すのと同じ流れだ。
リサイクルシステムであれば、廃品の回収だけでなく、廃品から作った素材を用いて新たな製品を加工するプロセスともしっかり連携しているはず。しかしこれまで、廃品から作った素材を、どうやって新たな製品にしているかは不明だった。
そのような中、東京大学の水島昇教授らの研究グループは、この廃品回収車が、ある“工場”(別の細胞内小器官)に素材を運び込んでいる現場を撮影し、このリサイクル機能が果たす新たな役割を発見。研究成果を12月8日付けの学術誌「Cell Reports」に発表した。
まず、研究グループは、オートファジーが生物の発生にどのように関与するかを調べるため、オートファジーに関連する遺伝子の働きを止めた実験動物(ゼブラフィッシュ)を作成した。その結果、オートファジーが働かない魚では、浮き袋が膨らまずに「浮けない魚」となることがわかった。
さらに詳しく解析すると、浮き袋を膨らますのに必要な物質「サーファクタント(表面活性物質)」の産生に問題が生じていた。オートファジーの働きを止めたことで、廃品回収車(オートファゴソーム)が出動せず、サーファクタントの産生工場である細胞内小器官「ラメラ体」が成熟しなかったのだ。
研究チームは、マウスでも同様にオートファジー遺伝子を止めた実験を行ったところ、サーファクタントが十分に産生されず、肺の機能不全を生じて、出生後早期に赤ちゃんマウスが死んでしまうことを確認した。
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