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バウムクーヘンのユーハイム、AIがお客好みのコーヒーをオートクチュール - PC Watch

バウムクーヘン専用のAIオーブン「THEO」も活躍中

AIオーブン「THEO」。マシンラーニングで職人同等のバウムクーヘンを焼き上げる

 ユーハイムは創業1909年の製菓会社。本社は神戸にある。日本で初めてバウムクーヘンを焼いたカール・ユーハイムから受け継がれるドイツ菓子を提供している。

 ユーハイムはAI搭載バウムクーヘン専用オーブン「THEO」を開発し、名古屋・栄にオープンした「食の未来」をテーマにした複合施設「BAUM HAUS(バウムハウス)」などで運用している。5年かけて開発し、2020年11月末に発表した。職人が焼く生地の焼き具合を各層ごとに画像センサーで解析、マシンラーニング(機械学習)させることで、職人と同等レベルのバウムクーヘンを焼きあげることができる。ユーハイムでは「THEO」を使うことで、菓子店間の遠隔操作、アバターを通じた焼成体験、バウムクーヘンの味や職人技の技術継承ができるとしている。

ネットワークの力でお菓子は世界を幸せにできるようになる

ユーハイム代表取締役社長 河本英雄氏

 ユーハイムは『PEACE BY PIECE お菓子には世界を平和にする力がある』というキャッチコピーを掲げている。ユーハイム代表取締役社長の河本英雄氏は、「なぜお菓子屋がコーヒー、フードテックなのか。当社も新型コロナ禍の影響を受けて苦戦している」と話を始めた。

 そして、「バウムクーヘンはマシンラーニングと親和性が高く、『THEO』にはこの道50年の職人のデータを入れてバウムクーヘンを焼けるようになった。今はバウムクーヘンを焼くことしかできないが、様々な職人のデータを取れれば再現できることは分かった。ベテラン職人の技を再現するには人間には時間の限界があるが、機械には時間の限界がない」と続けた。

 また、「ロボットは全部ネットワークに繋がっている。『THEO』はダウンサイジングしており、どこへでも持っていける。すなわちTHEOが行くところはネットワークに繋がる。『THEO』は焼くことしかできず生地は作れないので職人とペアで、いわば『一番弟子』としてバウムクーヘンを作っている。『THEO』が焼くことで、職人はよりお菓子に向き合えるようになり、お菓子をもっとおいしくすることができる。つまり、実際にネットワークで繋がるのは職人たちだ」と述べた。

 一人の職人だと一軒のお菓子屋しか運営できず、そのお店のお客に対して幸せを提供できるのみだが、「本来、お菓子はもっと力がある。職人さんがもっと繋がっていけば世界が広がる。お菓子には世界を平和にする力がある。『THEO』により職人と職人が結びついて世界を平和にしていくことができる」と語った。

オートクチュールは最初から「体験」だが……

THEOが焼いたユーハイムの看板商品バウムクーヘン

 ユーハイムは創業の経緯からヨーロッパの職人たちとネットワークを持っている。河本氏は、ヨーロッパでは王宮文化が民主化し、街に出てきて様々な人が楽しめるようになり、文化が形成されてきたといった流れがあると紹介。

 そして多くの職人たちと話す中で、これからは「食はどんどんオートクチュール化していく」と確信するようになったと述べた。つまり、特定の人のためだけに料理人や職人が腕を奮っていた文化が、どんどん民主化する、それにテクノロジが関わっていくという流れだ。トップクラスの職人たちほど、そのような考えを持っているという。

 フランスの「ミシャラク」も高級パティスリーの1つだ。高級パティスリーはハードルが高くなってしまっており、若者たちはなかなか行かなくなっているのが現実だ。ミシャラク氏はもともと王道を歩んでいたパティシエだったが、独立した時に「若者向けにお菓子をロックにしたい。高級パティスリーを民主化していく」と考え、その流れの中でユーハイムが東京にミシャラクの進出を招いたという流れがあると紹介した。

 河本氏は、ファッションに例えて、プレタポルテ(既製服)は並んでいるものから買っていく、つまり「選択」だが、「オートクチュールは最初から体験」だと述べた。「パティシエが、お客さんとともに『作る体験』を行なう。それがオートクチュールだ」という。

 そして料理とデセール(菓子)の両方のバックグラウンドを持つフィリップ・コンティチーニ氏との取り組みについて紹介した。

 コンティチーニ氏が来日した時に、オートクチュールのパフェをその場で作るという試みをしたところ、1レシピの値段が15,000円と高額だったにも関わらず、銀座だったこともあって非常に評判になり、ウェイティングリストも200人くらい並んでしまったという。

 しかしながらオートクチュールなのでコンティチーニ氏が来日したときしかメニューは作ることができない。それも1日5人くらいがせいぜいであり、例え高額であっても需要はあることは分かったものの、「顧客の希望に応えられない」ということが悩みだったという。

AIを活用して「セミ・オートクチュール」へ

一番人気メニューは「ミシャラクモンクール」

 それに対して、会見の場となった「ミシャラク」との取り組みは「セミ・オートクチュール」だ。フランスのミシャラクではクリームやフルーツなどを5層にしたミニパフェ「コスミック(KOSMIK)」がSNSなどで人気商品だった。

 公式アプリを使って、ミシャラク氏がパフェを作る時によく行なう5つの質問応答を自動化し、質問に答えることで、独自の「コスミック」を完成させる日本限定の「マイコスミック」は、完全なオートクチュールではないものの、アプリを使うことによってミシャラク氏が来日しなくても1日に100人以上に価格650円で提供できるようにした商品だ。

 アプリで作ったレシピは名前を付けて保存し、QRコードを使って店頭で注文することができる。SNSで人とレシピを共有したりすることも可能だ。河本氏は「テクノロジを取り入れることで、完全ではないがオートクチュールを民主化できた」と語った。

 その流れの中で開発された今回の「オートクチュールコーヒー」はミカフェートとの取り組みで、「飲めば飲むほど自分だけのコーヒーに近付いていく」ものだという。

ミシャラクのミニパフェ「コスミック(KOSMIK)」
公式アプリで質問に答える。画像の男性はパティシエのクリストフ・ミシャラク氏
直接レシピとは関係なさそうな5つの質問に答えると、今の気分や好みに応じたレシピが自動で生成される。さらにカスタマイズも可能

テクノロジが食を通じて毎日と社会、人生を豊かにする

お菓子は社会をもっと豊かにできるという

 河本氏は「人との協働の中で食の可能性を探求していく。これがフードテックの潮流になっていくだろう」と語り、「海外ではテクノロジ系の会社がフードテックに入ってきていることから、テックの文脈でフードを拡張していることが多いが、日本はフードの文脈でテクノロジを取り入れて、よりおいしいものを作っていくべきだ」とする。

 また、「うちは職人ベースの会社。テクノロジが人を変えていくのではなく、テクノロジを使う人間側が、より自分を豊かに、毎日を豊かにしていき、世の中を変えていくべき。技術はあくまでそのヘルプ。より食を豊かにしていきたい」と語った。

 そしてフードテックは「誰のためのものなのか」、「何のためか」、「何に使うのか」の3つの視点が重要だと考えているとし、今回のコーヒーについては「より自分にあったコーヒーを探していく、いわば自分を探していく手伝いをしていくのがオートクチュールコーヒー。コーヒーはもっともっと楽しくなる。コーヒーを飲む自分の生活が豊かになっていくためのもの」と述べる。今後もフードテックによる食の民主化を進め、より、その人の人生が豊かになっていく方向性を作っていきたい」と語った。

 最後に「焼き立てのバウムクーヘンと自分だけのコーヒーを、まずはシンプルに楽しんでいただきたい」締めくくった。

ユーハイム代表取締役社長 河本英雄氏(左)と川田テクノロジーズ代表取締役社長 川田忠裕氏(右)

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June 01, 2021 at 07:50AM
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