ゴルチエの物語をつなぐ、サカイの阿部さん…パリコレオートクチュール - 読売新聞

　２０２１～２２年秋冬パリ・オートクチュール（高級注文服）コレクションが７月上旬に開かれた。注目の協業や、半世紀ぶりにオートクチュールを復活させた老舗ブランドなど話題や見所も多かった。（生活部　福元理央）

　 ジャンポール・ゴルチエ は、サカイの阿部千登勢さんをゲストデザイナーとして迎え、観客を入れたショーを行った。阿部さんは、得意とする異素材を組み合わせる技法などを用いながら、両ブランドの魅力を融合させて見せた。

　最初に登場したのは、タトゥープリントのボディースーツに透ける素材の青いドレスを重ねたスタイル。歌手のマドンナが着用したことで有名な胸元の円すい形のコーンブラが印象的だ。代名詞でもある青のボーダーも登場。透け感のあるサテン地と極薄のチュールを使い、青のラインが消えていくグラデーションが美しい。

　最後に登場したイブニングガウンとパンツは、この協業の意義を象徴する。創業者のジャンポール・ゴルチエさんが、ランウェーショーからの引退を表明した昨年のショーで着た青いオーバーオールを活用したもの。ゴルチエの物語を、終わりから始まりの地点へとつなげたという。

　男性用スカートなど既成の美意識を揺さぶったゴルチエさんはかつて「ｅｎｆａｎｔ　ｔｅｒｒｉｂｌｅ（アンファン・テリブル、恐るべき子ども）」と呼ばれた。そして、今回のフィナーレに登場した阿部さんのＴシャツには「ｅｎｆａｎｔｓ　ｔｅｒｒｉｂｌｅｓ」と複数形のロゴがあしらわれていた。阿部さんらしいユーモアと偉業を成し遂げた自負を感じた。

　 バレンシアガ は、創業者のクリストバル・バレンシアガが１９６７年にファッション界を去って以来となるオートクチュールを発表した。デザイナーのデムナ・ヴァザリアさんは、創業者が生み出した革新的なシルエットを再解釈しながら、エレガントで彫刻的なフォルムのドレスなどを披露。日本製のデニムを用いるなどストリートの要素を取り入れた装いも見せた。

　 ディオール は、会場の壁一面に飾った全長４０メートルもの刺しゅう布を前にショーを行った。豪華な舞台に、ツイードでまとめたクラシカルな装いや繊細なプリーツを施したドレスが登場した。 ジョルジオ・アルマーニ・プリヴェ は、ベビーピンクなど柔らかな印象の色を用い、透ける素材の軽やかなドレスをそろえた。

　◎写真はいずれもブランド提供

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August 05, 2021 at 01:05PM
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