Nature ハイライト
Nature 589, 7842
細胞はオートファジー過程を活性化することで、特定の内在性の構成要素を分解して恒常性を回復させたり、ウイルスなどの外部侵入者を分解して排除したりする。今回B Levine(故人)たちは、エンドソームタンパク質であるSNX5(sorting nexin 5)が、医学的に重要な数種類のウイルスによるオートファジーの開始に必須であるが、その他の状況におけるオートファジーには必須ではないことを報告している。マウスでSNX5を欠損させると、数種類のヒトウイルス感染後の致死率が高くなった。分子レベルでは、SNX5は既知のオートファジーメディエーターであるベクリン1やクラスIIIホスファチジルイノシトール 3-キナーゼ複合体1(PI3KC3-C1)と相互作用する。この相互作用は、リン脂質のホスファチジルイノシトール 3-リン酸(PtsIns(3)P)のエンドソーム上での生成や、オートファジー機構の別の構成要素であるPtsIns(3)P結合タンパク質WIPI2のウイルス粒子を含むエンドソームへの誘導を促進するようである。これらの知見は、ウイルスによるオートファジー誘導の機構についての手掛かりを示している。
2021年1月21日号の Nature ハイライト
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